佐賀で一人の海苔漁師に出会った。

その名は島内啓次。

普段は自然と向き合っている反動か陸に上がった漁師は話が長い。話し好き、そんな印象だが、内容は全て海苔に関するものばかり。漁場や自然に対する深い考え方、海苔への愛情は尋常ではない。

そんな海苔づくりの名匠の取り組みは、消費者に全く伝わっていない事に気付く。海苔のパッケージには何も書いていない。情報発信も雑誌の取材止まり。昔は量産ができなかった海苔を研究し、安定した品質の海苔を安定した価格で安定した時期に届けるという技術を開発。誰もが最高品質の島内啓次の海苔を旬な時期に手にすることができるようになった。

 

海苔に人生を懸ける職人、海苔の名匠

潮の干満差が大きい恵みの海、有明海佐賀は西与賀の漁場で、自然を見つめ海苔を育み、丁寧に摘み、丹念に炙る。分業が進んだ現代の海苔づくりに対し、全ての道筋を自らの眼と手技で確かめる。

日々変わる環境の中、一貫して最善を尽くす生産で、匠が目指して願うのはとことん追求した旨さと安全でだ。おいしい!と多くの人を笑顔にしたい、島内啓次とはそういう想いの人。

海苔の伝道師

島内啓次は、生物や環境を研究する学者であり、海苔と有明の海の対話を日本伝統の食に仕上げる職人。そんな海苔漁師のこと、もっと海苔そのものを伝えてみたい。背景を知った上で、海苔を味わってみると、ひと味もふた味も違う。海苔づくりの工程、海の安全の話をきくと素性の知れない海苔は食べられない。

島内啓次の海苔を知って食すること、漁場と食卓を近づけること、それが伝道師の役割。