(仮)海苔は⽔や塩、醤油や味噌、卵や⽜乳、⽶やパンなど⾝近な⾷品の⼀つ。⽣活の基礎をつくるこれらの⾷料品も、時代の変化とともに品質が多様化し各分野の「おいしい」が細かい⾔葉で表現され、⾷べる楽しみを拡げている。

島内啓次は海苔の味を「あまい」と表現する。炙りすぎた海苔の焦げからくるわずかな苦みを⾒逃さない。シンプルな⾷品の姿でありながら、折り重なる深い「おいしさ」を持つ海苔。その海苔づくりの背景にある、島内啓次ならではのストーリーを希、然、技、旨、会、継、の6つの視点からご紹介したい。

希 まれ

唯⼀無⼆の海苔

希 まれ

唯⼀無⼆の海苔

希 まれ

唯⼀無⼆の海苔

絶滅危惧種となった日本伝統の海苔、アサクサ種にある海苔本来のおいしさ。 丁寧な手間をかけた生産過程による、他にない海苔の旨味、甘味、食感。 分業化が進中、全ての工程にこだわり完成させる「島内啓次の海苔」。

【アサクサ種の海苔】
島内啓次は、海水温の変化や病気に弱く絶滅危惧種に指定されているアサクサ種の海苔を有明の海で育てる。その量は海苔総生産全体の1パーセントにも満たないと言われている。養殖が難しく手間がかかり、収穫も少ないアサクサ種の海苔をなぜ作り続けるのか? 江戸時代、現在の東京湾で養殖された海苔。内湾性の塩分が比較的低い海域で育ち、今や幻の海苔と言われるアサクサ種。毎年3月の種の仕込みから培養、11月からの摘取りへと、日本の伝統食文化である昔ながらの海苔のおいしさを守るために、収穫期の冬場には時に不眠不休ともなる。

【有明海ならではの養殖法】
日本最大級の干潟である有明海の、干満差という自然環境を活かした高吊りの支柱柵式の海苔養殖法は、満潮時に海の栄養素をしっかり吸収し、干潮時には有明の太陽をたっぷりと浴びて旨みを成熟させる。極めて旨味が濃く、歯切れが良くふわっと甘味が口に広がる、昔ながらの自然な旨味、甘味のある海苔本来のおいしさが生まれる。それが島内啓次が求める海苔。

【全てを自らの手で】
野菜や魚などの生鮮食品には原産地の詳細や、生産者の名前が伝えられている。一方で、近年分業化されてしまった海苔生産の各工程によって、生産者が思った通りのつくり方で海苔を消費者に届けることが難しくなっている。 海苔を海で摘み、船で運び、陸の槽に移し、異物を取り除き、機械で編みに載せ、 乾燥炉で水分を減らし、板海苔になる。その一つひとつの過程で匠のこだわりある。例えば、島内啓次の海苔槽は海の状態に近づけるために、特別な機械で微少な酸素を送り込んでいる。全ては、生きた海苔を食べてほしいから。海苔胞子付から炙りまで、全ての過程を自ら手がけることによって、得心の行く「島内啓次の海苔」が完成する。そして、流通までを一気通関することで高い完成度と製品の安心安全を消費者に、おいしい海苔を直接届けたいと願う。

然 しかり

海苔づくりと⾃然への姿勢

然 しかり

海苔づくりと⾃然への姿勢

然 しかり

海苔づくりと⾃然への姿勢

地域の自然環境を見つめ海苔師として真摯に向き合う。
自然の恵みを然るべき技で生きた海苔として育て収穫する。

【海苔の育つ海】
海苔は海で育つ。その海は川を介して山と繋がる。山では、広葉樹が落葉し、木の実が落ち、土壌菌で分解された豊かな土に雨が降る。養分を蓄えた水が川に流れ、海に至る。山が豊であることが良い海苔が育つ条件となる。栄養がありすぎてもいけない。過分な栄養を含んだ海は同じ養分を欲するプランクトンが増殖し、海苔を駆逐してしまう。大雨が降れば川の水量が増すが、木々が茂り保水力のある山は川の流れを穏やかにし、海への養分の過剰供給を防ぐ。海の流れは淀まずにプランクトンは必要以上に増殖しない。川が豊かであること。有明海の中でも山と海の距離が小さく、人の生活が川に与える影響が小さい佐賀県。そんな佐賀の川の真水と有明海の塩水が混ざり合う汽水域に島内啓次の漁場はある。空模様を測り、わたつみを見つめ、山と森を守りながら、海苔が育つ最適な環境を島内啓次は追求している。

【海苔の収穫】
海苔は夜に摘む。潮に合わせて深夜になる事も多い。細胞が開いた日中よりも、閉まっている夜間の方が海苔が生き続けるのに良いからだと島内啓次は言う。海苔を摘み、船で運び、陸の槽に移し、異物を取り除き、機械で編みに載せ、乾燥炉で水分を減らし、板海苔になる。島内啓次の海苔槽は海の状態に近づけるために、特別な機械で微少な酸素を送り込んでいる。死んだ海苔ではなく、生きた海苔を食べてほしいから。海苔を摘んで板海苔になるまでの時間を短くすることが大切。海中で育った海苔を板状にして、水分量を12%程に下げていく。無駄に滞留する時間は一切ないが、生産効率を上げるために温度を上げることはしない。急がずに低温でじっくり時間をかけて水分をぬいていく。全ての工程を人任せにせずに納得行く独自施設と方法で生産し、海苔に負担をかけずに、佐賀の自然に作らせてもらっている、それが島内啓次の考え方。

技 わざ

海苔の真価を引き出す匠の技

技 わざ

海苔の真価を引き出す匠の技

技 わざ

海苔の真価を引き出す匠の技

海の自然の中で、刻々変わる海苔の育成の変化を捉え、人任せにしない。
独自の技でおいしい海苔のために、日々試行錯誤し進化しつづけている。

【海苔ができるまで】
海苔養殖には、海の季節に合わせた種まきから収穫、加工、出荷までさまざまな工程がある。各々の工程に多くのノウハウや技、試行錯誤の苦労があり、美味しい海苔をつくるのに気を抜ける工程は一つもない。

培養4月~10月牡蠣の殻に海苔の種を植え付け、海苔の胞子が泳げるように水槽の中で細心の温度管理下で生長させる。

殻入れ9月〜10月中旬9月に漁場に支柱を立てる。陸では、養殖用の網に培養した牡蠣殻を1つか2つずつ袋に入れてぶら下げる。

育成10月中旬〜3月 種付けした養殖網を漁場に運び、支柱を頼りに海に網を広げる。胞子が網に付着して根をはり、潮の満ち引きに合わせた干出の繰り返しが行われる。太陽と海の栄養を最大限に取り込みながら成長してゆく。

二期作用の海苔網の保存 海苔芽が3~5㎝に成長したら網を一部引き揚げ、陸上で半乾燥させた後-20~ 25℃で冷凍保存する。海に残した秋芽網(一期作目)の摘取りが終わった後、冷凍保存した網を再び海水に広げ二期作を行う。

摘取り11月中旬~3月 摘採は海苔芽が15~20センチほどに成長したら行う。秋芽網で3~4回、二期作 の冷凍網で10~12回程度で、陸の水槽に移され加工される。

板海苔加工11月〜4月 摘取られた海苔は陸の加工場に運ばれ、水槽を通し、ミンチされた後に異物センサーを通して板状に乾かされ、低温倉庫等で保管される。出荷の都度に炙りを入れ最高のおいしい焼き海苔となる。

一般に海苔漁師は、培養された種を受取り、殻入れから摘取りまでを主に担っている。島内啓次は、種の培養から海苔の炙り方まで一貫し、おいしい海苔をつくるには全ての工程がどうあるべきかを常に考えている。

水槽、乾燥機械、炙る機械を細部にこだわって技術者と作りながら、海苔のおいしさを求め今も日々進化している。温度を微調節し海苔の姿を確かめながら、おいしく炙れる海苔漁師はまずいない。それが島内啓次の技。

旨 うまみ

⾷の品質とおいしさ

旨 うまみ

⾷の品質とおいしさ

旨 うまみ

⾷の品質とおいしさ

どんなに栄養価の高い品質にこだわっても、おいしいくなければダメ。
旨み、甘み、香り、歯切れ、口溶けにこだわったおいしい海苔。

【生きている海苔】
海苔は生きている。島内啓次は『生きている海苔を食べてほしい』という。海苔は湿度に極端に弱い。支柱式の網が干出した時に太陽光で雑菌が死滅する中、海苔は高温や乾燥に耐える一方で、湿度が加わると細胞が衰弱し腐敗が始まる。
島内啓次の海苔は、乾燥剤と共に厚手のアルミの袋に封入されている。透明の袋で海苔が見える事よりも、紫外線の影響を避け海苔が長生きすることを優先している。名匠に鍛えられた細胞は簡単には死なない。冷暗所で未開封ならば常温で2年は持つ。
封を開けた後はいかに湿度を避けるか。空気中の水分で海苔は確実に衰弱していく。海苔を冷蔵庫や冷凍庫の中に入れると良いのは温度よりも湿度によるものが大きい。手巻き寿司を楽しむ時も、できれば皿の上に載せず、箱から一枚ずつ取り出してほしい。
一度、湿気てしまった海苔は、炙っても香りはたたない。既に海苔が死んでいるから。海苔の命は実に儚い。生きたままの海苔を食べる意識がもっと拡がってほしい。

【旨み、甘み、香り、歯切れ、口溶け】
ほとんどの海苔は80度近くの高温で火入乾燥をしているが、それを40度以上の高温せず時間をかけてゆっくりと炙り乾燥させる。生きている海苔を大切にするからこその手間だ。
そのため生きた海苔に豊富に含まれる、健康に必要な栄養素が失われることなく、また食物繊維が壊れずにしっかりした歯切れと、新芽の口溶けのまろやかな食感が保たれる。
海苔を摘んで板海苔になるまでの時間を短くすることも大切。海中で育った海苔を板状にして、水分量を12%程に下げていく。無駄に滞留する時間は一切ないが、生産効率を上げるために温度を上げるようなことはしない。急がずに低温でじっくり時間をかけて水分をぬいていく。
「いくら体に良くても、おいしくなければだめだ」と島内啓次は言う。有明海に合った漁方で大切に育て、匠の技を持つ職人の手でアサクサ種の海苔が持つ旨み成分をじっくりと濃厚に仕立てる。

会 あい(愛)

海苔を語り合う

会 あい(愛)

海苔を語り合う

会 あい(愛)

海苔を語り合う

島内啓次の海苔づくりとの出会い。海苔ファンや食通との交流。
美味しいさへの探求が相乗効果を産む、美食創造の場「海苔アカデミー」

【島内啓次との出会い】
島内啓次の海苔を最初に口にした時の感動は今も忘れない。『これが海苔の味なんだ。』海苔づくりに向ける姿勢や深い考えを聞き、船で漁場を訪れて有明海の波と風を感じ、島内啓次の海苔に惚れ込んでいった。
『多くの人に美味しい海苔を食べてもらいたい』という島内啓次の想いを知る一方で、海苔が食卓に届く商流や、古くからの商習慣でほとんど伝わっていない事に気付く。名匠がつくる海苔を、多くの人に味わってもらうこと、島内啓次から得た海苔の話を少しでも広くに知ってもらうこと、それがこのサイトの目的。

【海苔の味を伝える】
海苔は水や塩、醤油や味噌、卵や牛乳、米やパンなど身近な食品の一つ。生活の基礎をつくるこれらの食料品も、時代の変化とともに品質が多様化し各分野の『おいしい』が細かい言葉で表現され、食べる楽しみを拡げている。
島内啓次は海苔の味を『あまい』と表現する。炙りすぎた海苔の焦げからくるわずかな苦みを見逃さない。食べ比べればどちらが美味しいかすぐ気付く海苔。一方で単品の海苔を食べた時に、味を的確に表す言葉はなかなか見つからない。
海苔の評価軸をきちんと定めること。生産者や業界主導の見た目の等級ではなく、海苔の食べ手が日常の会話で海苔を楽しむ為のもの、そんな言葉を充実させたい。

【海苔のファン】
島内啓次の海苔を周りに紹介してみて気付くのは、海苔にこだわりを持っている人の多さ。『うちはここからしか海苔を買わない』『毎年ここから一年分の海苔をお願いしている』お気に入りの海苔を持っている。
海苔は栄養が豊富で身体にも良いときく。海苔は日本の生活に深く浸透している。お酒好きを公言する 人はいても、海苔好き:海苔ファンを公言する人が少ないのは何故か。
海苔ファンが、自分の好きな海苔を語り合える場。新たな海苔の食べ方を発案する場。島内啓次が海苔づくりを追求しているように、海苔の食べ方をもっと美食創造の場、海苔アカデミーで考えていきたい。

継 つぐ

未来への継承

継 つぐ

未来への継承

継 つぐ

未来への継承

おいしさへのこだわりと匠の技を次世代が受け継ぐ。
海苔づくりに適した自然循環を未来へと継げ残すために。

【海苔を受け継ぐ】
島内啓次には後継者が居る。一次産業の後継者不足が社会問題となる世の中で、名匠の技をしっかり受け継ぐ若者がいる。親子や親族で漁場の継承が通例だが、島内啓次の後継者は娘婿の山田嵩弘、漁業とは全く縁の無い環境で育ってきた。
海苔漁師になる前は、大手塗料メーカーの工場で機械装置に囲まれて働いていた山田嵩弘。自然と離れた働き方に疑問を持ち、海と密接な海苔漁師に魅力を感じ、2011年に転身した。潮の満ち引きや天候変化を観察、海苔を育てる難しさと面白さを感じ、日々技を磨いている。
海苔づくりは奥が深いが、細部に拘りすぎて近視眼になってはいけないと島内啓次はいう。研究者がおいしい海苔をつくれるとは思わない。理屈通りに事は運ばないし、欲をかくと必ず失敗する。自然の中での海苔づくりは、眼鏡を外してぼんやりと見るぐらいが丁度いい。『ようやく海苔がわかってきた』という名匠に対して『お父さんは陸にいても海がわかる』先代へ敬意を表しつつ、自らの海苔を追求している。成長著しい若手海苔漁師に期待したい。

【有明海の恵み】
有明海で海苔漁を続けること、佐賀の前海が、豊かな漁場であること。そのために島内啓次は、一人ではなく仲間たちと様々な努力を重ねている。
東京の海苔漁は、羽田空港をはじめ経済成長を支える産業立地をつくるため、遠浅の海を埋め立て、海苔造りは無くなった。佐賀の隣県でも干拓事業が問題となっている。海苔の生育に適した海を守ることは容易ではない。しかし、漁師の声は大きくはない。
西与賀の海に、川から充分な栄養が流れてくるように山を育てる活動をする。牡蠣やウニも、山の状態によって品質が変わることがわかってきた近年よりずっと前から、島内啓次は自然の繋がりを意識していた。恵みは山からくる。
工場が川に流すことができる水質基準、下水処理場が投入する薬品の量など海苔漁師と一緒に川の浄化を訴えてきた。山だけでなく、里も視野に入れる。川が綺麗になることで、海苔が良く育つ。おいしい海苔、安全な海苔がとれる。

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